鉄道車両と住宅。多品種少ロットの難しいモノづくりを
支えるのは、高基準のテクノロジーと職人技
鉄道車両や住宅は、実に多くの部品が組み合って作られています。また、一つ一つの部品には、高品質と低コストの両立という、実に難しい課題が課されます。その課題に応え続けることで技術力を高め、信頼を築いてきた六浦工業。社会に必要な様々な製品作りを支えている金属加工メーカーです。
木工から金属加工へ。
社会の要請に応え、自然に変革
横須賀海軍基地に隣接する、京浜急行・北久里浜駅。そこから車で5分ほど行ったところに、六浦工業の本社と横須賀工場があります。前身となった「六浦木工所」は横浜市金沢区六浦で創業され、後に現在の場所に移ってきました。
創業当時は「木工所」の名前の通り、木工製品を手掛けていました。創業されたのは日本の造船業が盛んだった1957年のこと。港町六浦に位置するということもあり、船のベッドや家具などの製造が中心だったと言います。自動車が普及し始めた高度成長期に、トラックの荷台や乗用車のハードボードなど、木質系素材で作られる自動車部品に参入。その後、電車の車両に木工の技術が生かせるアルミ素材が使われるようになったことで、電車の車両部品を製造するようになりました。
「住宅の分野では創業当時、プレハブ住宅の木製部品を作っていました。その後、木製部品がニーズが少なくなったのをきっかけに、鉄製部品に転換。時代や社会の要請に添いながら歩んできました」と、代表取締役の土屋誠さんは話します。
「常に社会や時代に必要とされるものを作る。現在、我が社の主力商品は鉄道車両の部品と住宅部品ですが、それも『鉄道車両をやっている、住宅をやっている』ではなく、『やらせていただいている』。そんな気持ちで、事業に取り組ませていただいています」
小さな部品から大きな製品へ。
モノづくりの楽しさが実感できる仕事
創業者の孫に当たる土屋さんは、ユニークな経歴の持ち主です。大学では微生物学を専攻し、研究テーマは“発酵”。卒業後、大手食品メーカーの研究所で10年、研究者として勤めました。
「遺伝子操作では遺伝子配列を切ってつないでという作業をするのですが、目には見えるものではありません。それに比べて、材料を切ってつなげればできあがりが目に見えるのが、金属加工の世界。六浦工業で働き始めてすぐに、こっちの方が面白いなと思いました」
そうしたモノづくりの楽しさは、現場で働いている従業員も実感しているようです。
小暮瞬嗣さんは高校を卒業して六浦工業に入社。現在は電車車両の内装部品を作っています。「入社半年で慣れていないし、不器用なので、失敗もまだまだ多いです。気をつけながら毎日丁寧に仕事をすることが自分のテーマ」と言いますが、「モノづくりに携われる仕事はとても楽しいです」とも。
「小さい部品から大きなものができていくのを目で見ることができるのが楽しいです。それと、失敗しても上司がフォローしてくれるし、皆さん、自分の息子や弟のようにかわいがってくれて、聞けば何でも教えてくれます。そうした環境ですごく働きやすいですね」
コンピュータで自動化、省力化。
ローコストとハイクオリティの両立を追求
六浦工業が生産する電車車両の部品は、床材やドア、壁面、仕切りパネルなど多岐にわたりますが、自動車部品のように一つの種類の部品を数千から数万個単位で、という発注が来ることはまずありません。多品種を少ロットで作るには手間も時間もかかります。しかも、人命を支える部品ですから高品質は当然。そして低コストも求められます。
六浦工業では機械化を進めることで、高品質と低コストの両立を追求しています。その一端を担うのが、川崎優樹さん。レーザー加工機のプログラミングを担当しています。
大学で学んでいたのは全く違う分野だったので、プログラムに関する知識はほとんどありませんでした。入社後、女性の先輩社員から基本からしっかり教えていただきました。初めて自分がプログラムしたものが実際に形になったのを見た時には、すごく嬉しかったですね」という川崎さんの言葉からは、プログラミングの仕事でもモノづくりの喜びを味わえる、六浦工業の仕事の楽しさが伝わってきます。
自分が作ったものが、線路を走る!
社会の役に立てる嬉しさ
JRや京浜急行の一般車両、新幹線や新しいコンセプトの寝台車として話題の四季島など。六浦工業が作った部品は、今日も線路の上を走り続けています。また、高品質住宅として名を馳せるALCコンクリートの住宅メーカーが作る家の梁も製造。人々の安全で快適な暮らしを支える役割を担っています。
「作った製品が使われているところを実際に見られる、そして製品を通して社会貢献できるところが、六浦工業で働く魅力だと、私は思っています」と、土屋さん。今後も、社会の要請に添った製品を作り続けたいと力強く話してくれました。
「“求められたものを作る”という言葉に「受け身」のイメージを持つ人がいるかも知れません。しかし「その姿勢を続けていけば今後、古くなった橋や高速道路を修復するための部品を作ってくれというような、時代に沿った新たな案件が持ちこまれる可能性もあります。そんな要請にも柔軟に対応できる会社でありたい」という土屋さんの言葉からは、技術に対する自信と誇りが感じられました。堅実で力強い成長を予感させてくれる企業です。
求人情報
募集情報 |
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企業情報
社名 | 六浦工業株式会社 |
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住所 | 横須賀市内川1-3-23 |
電話番号 | 046-830-5067 |
事業内容 | 鉄道車両部品(構体部品、内装部品、他) 住宅用部材(鉄骨梁、ガセット、階段、梁、他) |
従業員数 | 156人(2017年9月現在) |
プロフィール
六浦工業株式会社
代表取締役
土屋誠さん
横須賀生まれ、祖父により1957年に前身の「六浦木工所」を創業。その後、時代のニーズと合わせアルミ合金などへ遷移すると共に技術力を高め進化して行く。
大量生産の自動車部品と異なり、少量多品種、場合にはワンオフで特注品の鉄道部品や、住宅等の各種部品を多く仕上げる企業である。
大学専攻は生物化学、特に微生物学のバイオ研究に取り組んでいた経歴を持つ。家業に就かれた後も、先人の築いた歴史の延長線上に改革を模索する経営者である。
六浦工業株式会社
川崎優樹さん
横須賀市出身。現在は工場で素材を切り出すレーザー加工機のプログラミングを行っている。大学卒業後、社長や周囲の先輩方の教えで、一から身に付けた。今では図面の読込みも早くなる。横須賀が好きです!と語る。
六浦工業株式会社
小暮瞬嗣さん
入社の動機は、ものづくりの現場である工場で働きたかったからと言う。今は、ワンオフの鉄道車両の部材の切出しと組立の一部を担当。年齢は若いが、目標は全体を任されるほど、もっと知識と技を磨きたいと語っていた。
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